[書評] 火花/又吉直樹(文藝春秋)

芥川賞を受賞したことで大きな注目を浴びた、お笑い芸人ピースの又吉直樹の小説です。
純文学としては異例の売上となっており、タイトルを知っている人がほとんどでしょう。読んだと言う方も多いのではないでしょうか。

「火花」のあらすじ

主人公はお笑い芸人であるスパークスというコンビの徳永です。
徳永は花火大会の営業として漫才をしていました。しかし、花火が始まる前に終わるはずだった漫才は、結局花火が鳴っている最中に行うことになります。

みんなが花火を見ている中、やけくそになりながらも漫才を続けるスパークス。
そして、ようやく彼らが漫才を終えると、次はあほんだらというコンビが漫才を始めます。
客席に向けって毒づくあほんだらの神谷に対し、徳永は衝撃を受け、弟子入りすることを決意します。

神谷が弟子入りを認める代わりに出した条件は、徳永が神谷の伝記を書くというものでした。

弟子となった徳永は普段の生活でも破天荒な神谷と一緒に過ごしていくうちに、自分と神谷にある力の差を痛感します。

しかし、あほんだらは世間や芸人の間での評判がよくなく、なかなか世に出ていきません。
それに対し、神谷たちのスパークスは徐々にテレビなどへの露出が増えていきます。

神谷はどんどん借金を重ね、破滅へと向かっていきますが、そんな彼に対して徳永は必死についていきます。

「火花」の感想

純文学ということで、娯楽性よりも芸術性が重視されています。

そのため、大きい事件らしい事件が起こる訳でもなく、売れないお笑い芸人の生活が淡々と描かれています。その中で「お笑いとは何か」「漫才師とは何か」といったことが語られていきます。

話の見所はやはり主人公の徳永ではなく、師匠である神谷です。

師匠といっても年齢は数歳しか違いませんし、別に神谷が売れている訳でもありません。さらに所属している事務所さえ異なります。

徳永は、ただただ神谷の才能に心酔して弟子になり、少しでもその才能をつかもうとします。
しかし神谷の言動は常人には理解しがたいところもあり、特に物語の終盤にはとんでもないことをやらかします。

そのあまりにも常軌を逸脱した行動は、果たしてお笑いといえるのかどうか、難しいところです。

中編小説なのでそこまで文量はありません。
話題の作品なので、一読しておいても損はないかと思います。

 

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