[書評] スクラップ・アンド・ビルド/羽田圭介(文藝春秋)

150910

お笑い芸人である又吉直樹が受賞したことで、一際話題になった今年の芥川賞ですが、受賞者はもう1人いました。
又吉に比べて、まったく知られていない、といいたいところですが、テレビにもちょいちょい出ていたので目にした人も多いと思います。

スクラップ・アンド・ビルドについて

主人公である健斗は子供の頃に父親をなくし、母親に育てられました。
そこに足腰が弱くなり、介護が必要な祖父が加わり、3人で暮らしています。

母は何かと人に頼ろうとする実の父を邪険に扱います。
健斗はそれに対し、特にかわいそうという感情は抱きません。
かといって、母のように邪険に扱うこともありません。

何かにつれ「じいちゃんはもう死んだ方がよか」「早くお迎えにきてくれかんのう」とぼやく祖父に対し、健斗はその望みを叶えるべきかどうか迷います。

しかし、直接手を下すような罪に問われるようなことはできません。

そこで健斗はあえて祖父の手伝いを進んで行い、心身共に弱らせて、安らかな死を迎えさせることを考えます。

スクラップ・アンド・ビルドの感想(ネタバレ含む)

話の中に特に大きな事件はありません。

健斗目線で話が展開し、祖父との関係だけでなく、自分と彼女の関係なども描かれます。

この話の見所のひとつは「本当に祖父は介護が必要な状態なのか」ということにあります。

いつも杖をつき、まともに歩くこともできないような祖父ですが、実は元気なのではないか、というシーンがいくつか出てきます。素早い動きを見せたり、杖なしで歩いたり、孫を抱き上げたりと、本当に寝たきりの老人ならばできないことを見せます。

しかし、だからといって健斗は祖父と対立するわけではなく、淡々と手伝いをして、祖父の「死へのモチベーション」を高めていきます。

結局、最後まで祖父が死ぬことはありません。
また「実は元気だった」ということが明らかになることもありません。

無職だった健斗が再就職をし、家を出て行くところで物語は終わります。

ネットの評価を見ると、かなりの高評価でアマゾンのレビューを見ても☆4がついています。(投稿件数は45件です)

個人的には最後までまったく面白さを感じませんでした。
これだったら断然「火花」の方が面白かったですね。

 

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