[書評] コンビニ人間/村田沙耶香(文藝春秋)

コンビニ人間は2016年の芥川賞受賞作です。主人公の恵子は小さい頃から「自分はどうも普通ではないらしい」ということを周りの反応から感じていました。しかし、何が普通なのかは彼女には分かりません。そのまま大人になった彼女は、やがてコンビニ店員こそが自分の生きがいだと感じ始めます。

コンビニ人間について

主人公である恵子は自分の中にはっきりした合理性をもっており、その通りに行動します。

しかし、そこに感情はなく、他の人からは不気味がられていました。たとえば、彼女の子供の頃のエピソードでは、死んでいる小鳥を見て「これ、食べよう」と言い、母を驚かせます。

そういった言動を繰り返す恵子を母親は何とか「治そう」としますが、彼女は一向に変化しません。そのうち恵子は黙っていることで、自分のおかしさを隠すことを覚えます。

そんな彼女が大きく変化したのがコンビニ店員としての仕事です。

徹底したマニュアルが用意されたコンビニ店員は、彼女にとって非常に分かりやすく、生きがいを感じさせるものでした。やるべきことが明確で、その通りに行動することでお客の役に立てるという実感が彼女に活力を与えます。

コンビニで働くことに幸せさえ感じる恵子でしたが、世間がそれを許してはくれません。

妹、友達、同僚からの干渉により、彼女は混乱していきます。

ネタバレと感想

大きな事件らしい事件は起きず、ただただ恵子の生活が描かれます。

マニュアル通りに働くことに何一つ不満がない恵子でしたが、やがて周りから「彼氏はいないのか」「就職はしないのか」「結婚はしないのか」と干渉され始めます。

しかし、周りの人がなぜそんなことを言ってくるのか彼女には理解できません。

そこで出会ったのが、白羽という男です。

白羽はもともとコンビニで働いていましたが、態度が悪く、すぐに解雇されてしまいます。白羽は世間に対して憎しみをもっており、誰からも干渉されずに生きたいと恵子に愚痴ります。

恵子は白羽と一緒に暮らせば周りからの干渉が減るのではと思い、奇妙な共同生活を始めます。

彼女にとって白羽はペットと変わりません。もちろんそこに友情や愛などは存在せず、白羽もそれを望んではいません。ただ、餌を与えて家にいてもらうだけです。

これで上手くいくかと思いきや、今度は白羽との生活をおかしく思った周りが再び干渉してきて、やがて恵子はコンビニをやめてしまいます。

アメトーーク!で何人かの芸人がオススメしていたこともあり、読んでみましたが、なかなか変な作品でした。内容的にも読んでいてわくわくするものではなく、感動するものでもありません。ただただ、恵子というコンビニの一部であることを望む女性の暮らしが描かれます。彼女にとっての普通が世間一般と大きくずれており、彼女がおかしいのか世間がおかしいのかを考えさせます。

ページ数もさほどないので、気になった人は一気読みしてみてもいいかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUTこの記事をかいた人

ゴクラクテン

宮城県石巻市在住。
ボードゲームが好きで平日夜や週末に遊んでいます。
最近は、いろいろなオープン会にも顔を出すようになりました。
他にマンガ、本、映画、ゲームなどについて記事を書いています。