[書評] どんでん返し/笹沢左保

今回紹介するどんでん返し は、元々は1981年に刊行された作品です。
それが再び今年刊行されることになりました。

全6編の短編集です。

大きな特徴は、会話文だけで書かれているということです。
いわゆる地の文がなく、すべての話が会話だけで構成されています。

タイトルへの期待

わたしはオチが効いている作品が好きなため、そのような作品の噂を耳にすればだいたい読んだり、観たりするようにしています。
中でも、当時映画館で観たシックス・センス は非常に衝撃的でした。

ただ、シックス・センスが衝撃的だったのは、そういう作品である前情報がなかったという意味合いも強いです。
最初に「この作品はオチがすごいよ」と言われていれば、どうしてもある程度の予測をせざるを得ません。

観たり読んだりしている途中で
「あれ、この人ってこうなんじゃないの?」
「この表現は、あれを意味しているのでは?」
「まさか、これがこうなるってオチじゃないよな」
などなど、いろいろなことを考えてしまいます。

経験を積めば積むほど、ある程度予測も当たるようになってきます。

そういう意味では、最近再び話題となったイニシエーション・ラブ などは、仕掛けのほとんどが考えていた通りで、何とも拍子抜けしてしまいました。

自分と同じようなタイプの人だとすると、恐らくこの作品はそこまで驚けないと思います。
たとえ、驚いたとしても「えっ!」というものではなく、「へー」といったレベルでしょう。

このようなタイトルをつけるからには、よほどの仕掛けを準備しない限り、読者の想像を飛び越えることは難しいです。

言葉遣いへの違和感

30年以上も前の作品ということもあり、会話体に多少の不自然さを感じます。

翻訳の文体、または星新一のショートショートのような、いかにもセリフ然としたものです。
この辺りも好みがでるのではないでしょうか。

地の文なしの会話が大きな特徴なので、ここに違和感を感じると、すんなり楽しめないかもしれません。

会話体の可能性

しかし、会話だけでしっかり物語が作れるというのは、なかなか新鮮でした。

A「○○」
B「○○」
A「○○」
B「○○」
といった、カギ括弧の前に名前が表記してある台本のようなスタイルはよくあります。
何かの座談会やインタビューの多くもこのスタイルです。

この本ではそのような名前の表記もなく、本当に会話だけで話が進みます。
そのため、すべての話が2人の会話となっています。

恐らくこの手法で3人以上を登場させたならば、誰が誰だか分からなくなるでしょう。

会話中心のスタイルは、レビューでも活用できそうなので、いずれ自分でもやってみたいです。

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