[エッセイ] 若さが闇を駆け抜ける話

160408

あのときは高校生だっただろうか。
祖父母の家の離れで、従兄弟同士で泊まっていたときのことだ。

ひとしきり馬鹿な話をしたあと、話題は自然と性に関するものへ移行していった。簡単にいえば下ネタである。10代の男ばかりで過ごしているのだから、当然そういう話にもなる。

しかし、同じ10代といっても年下の方は、いまいちピンときていない様子だった。
まだ十分な知識を身につけている年齢でもない。

よし、それじゃあお兄さんたちが君たちに知識を伝授してあげようではないか。

妙なテンションになっていた我々は、自転車で書店まで行くことにした。
そこまで夜更けというほどではなかったが、田舎のため、ほとんど店はやっていない。灯りといえば街灯と自動販売機くらいなものである。

その闇を切り裂くようにわたしたちは走った。
(チャリで)

すでに書店は閉まっていた。
これは想定内である。
わたしたちはその書店に本の自動販売機があることを知っていた。

本の自動販売機は当時も今もそれほど見かけるものではない。そんなレアなものが、なぜかド田舎の書店にあった。

知識を伝授などと偉そうなことを言ったものの、それほどそういった書籍に対し造詣が深い訳ではない。我々はどれを選ぶべきか逡巡した。しかし、悩んでも仕方がないだろうということで、とりあえず適当に選ぶことにした。

お金を入れて、ボタンを押す。

ガコン!!!!

本の落下音があまりに大きく、思わず身体がこわばった。誰かに見つかるかもしれないと辺りを窺うが、我々以外ひとっこひとりいない。田舎万歳。

「え!」

本を取り出した従兄弟が驚愕の声を上げた。
そんなに刺激が強いものがでたのか。

「これ見ろよ」

彼が差し出したものはサ○デーだった。
通りで馬鹿でかい音がするわけだ。

ボタンの押し間違いも考えたが、そもそもサ○デーと我々が欲した本は価格が異なる。我々の要求する本の方が高い。お金もしっかり入れた。なんだ、何が起こった?

店は閉まってるし、そもそも未成年の我々が苦情を言う訳にはいかない。そこまで計算して、こんな卑怯下劣な真似をしたのだろうか。狡猾な大人め。

あるものは怯え、あるものは怒り、あるものは天を仰いだ。

「もう1冊買おう」
みんながうなずいた。

今度は先ほどと違うボタンを押した。念には念を入れておきたい。

ガコン!

先ほどよりも音が小さい。とはいっても、十分に響き渡るほどの音量だが。

「よし」
本を取り出したひとりが力強くうなずいた。

ミッションコンプリート。

予想外のトラブルがあったものの任務を完了した我々は再び夜のとばりの中へと飛び込んだ。

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