[書評] メリットの法則 行動分析学・実践編/奥田健次 (集英社新書)

行動分析学というジャンルがあります。
心や心理など目に見えないものではなく、行動のみに焦点をあてることで、さまざまなものを分析し、問題の解決に役立てることができます。

行動とは何か

では、どういったものが行動で、どういったものが行動ではないのでしょうか。

それを調べるために「死人テスト」というものが紹介されています。
物騒な名前ですが、別に恐ろしい内容ではありません。

行動とは死人にはできないことです。
そのため、死人にできることは行動には含まれません

たとえば、「食べる」というのは、行動でしょうか。

これは死人にはできないので、行動です。

では、「静かにしている」というのはどうでしょう。

これは行動ではありません。(死人は静かです)

そのため「横たわる」というのも行動ではないことが分かります。

このように死人にできるかどうかをチェックすることで、それが行動かどうかを調べることができます。

行動は具体的である

もうひとつの方法として、「具体性テスト」というものがあります。
行動はできるだけ具体的でなければなりません。

たとえば、「試験勉強をする」というのは、具体的でしょうか。

これは具体的ではありません。
何をどの程度勉強したのか分からないからです。
教科書を読んだのか、計算を解いたのか、漢字練習なのか、という具体性に欠けます。

では、「清潔にする」というのは、どうでしょう。

こちらも具体的ではありません。
部屋の掃除をするのか、手を洗うのか、という具体性がありません。

「トイレの後で、手を洗う」となれば、具体的といえます。
勉強に関しても「計算を10問解く」とすれば具体的です。

このように「死人テスト」と「具体性テスト」の両方をクリアしたものを、行動と呼ぶことができます。

実際の行動分析例

たとえば、ポイントカードがあるお店で買い物をするときのことを考えてみましょう。

直前
お買い物 ポイントなし

行動
ポイントカードを提示する

直後
お買い物 ポイントあり

このように行動の前と後では、ポイントに変化がでることが分かります。

ポイントは買い物をする人にとってのメリットであるため、「好子」と呼ばれます。
また、このような行動を繰り返すことを「好子出現の強化」と呼びます。

逆にその人にとってデメリットとなることは、「嫌子」と呼ばれます。

行動分析による問題の解決

その行動を連続して行わせたいならば、「好子出現を強化する」か「嫌子消失を強化する」のが重要です。

筆者はこれを使い、登校拒否などの問題を解決しています。
ただし、劇的で即効性が高いため、批判を受けることもあるようです。

けれども、それらの批判はどれも抽象的で、漠然としたものばかりです。
”こころの中身””本質的な解決”などといった言葉は、一見すると重要そうにも見えますが、実際のところ何を指しているのか分かりませんし、判定のしようもありません。

そんなことばかり言っていても問題は何も解決しません。
むしろ悪化することの方がほとんどでしょう。

行動にフォーカスをあてて、問題を解決するというのは、とても面白い考え方だなと思いました。
このような考え方もあるのかと、非常に感心した1冊です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)