ゴニンカンは主に青森県の津軽地方で遊ばれているチーム戦のトリックテイキングです。カンケイ2人、ムカンケイ3人がチームになり、規程枚数の絵札を奪い合います。江戸時代から遊ばれているゲームで毎年1回、五所川原市で世界選手権大会も開催されています。
ゴニンカンについて
使用するカード
通常のトランプからスペード以外の2を抜き、ジョーカーを1枚使います。
カードの強さ
Aが強く、2が弱いです。
ジョーカーは最初と最後のトリック以外で自由に出すことができ、最強です。リードで出した場合はスートを指定することができます。
ゲームの流れ
本来は独自の用語があるのですが、一般的な用語に置き換えて説明します。
各ラウンドの1戦目の切り札はクラブ、ダイヤ、ハートの順になっています。標準的なゲームではそれを3巡し、最後にスペードのラウンドを加え、全10ラウンド行います。
カードは配りきりのため、手札は10枚です。配られたときにジョーカーを持っているプレイヤーと切り札のAを持っているプレイヤーがカンケイ側になり「カン!」と宣言します。もし、ひとりで両方のカードを持っていた場合は「二重カン!」と宣言し、右側に数えて2番目のプレイヤーとカンケイ側になります。
ゲームはカンケイ側からリードするのですが、どちらからスタートするかは「行く!」「来い!」などのかけ声で決めます。
ゲームは通常のマストフォローのトリックテイキングです。絵札(J、Q、K、A)を取ることが目的のため、獲得したトリックの中に絵札があった場合、どちらかのチーム側に表にしたまま置いておきます。残りの札は裏にして一箇所にまとめておきます。
1戦目はカンケイ側が9枚の絵札を取ると勝利です。もしムカンケイ側が絵札を1枚も獲得していない状態で目標達成すると「スコンク」という役がつきます。さらにスコンクをキャンセルして「じゅうろく」と宣言し、全絵札を集めることを目指すことも可能です。じゅうろくはボーナス点が高いですが、失点も大きくリスクがあります。
カンケイ側が1戦目に勝利すると、同じチームのまま2戦目に入ります。2戦目ではカンケイ側が切り札を決めることができ、絵札8枚が目標です。さらにそれにも勝つと3戦目に突入します。3戦目は絵札9枚が目標です。
カンケイ側が負けるか、3戦目が終わるとラウンド終了です。
得点は1勝が1点、1敗がマイナス1点です。
そのため、1勝1敗ならば0点、3勝だと三タテボーナスが1点ついて4点になります。
他にスコンクがつけば1点、じゅうろくが成功すれば8点がつきます。
これを規程のラウンド(標準では10ラウンド)行い、得点が高いプレイヤーの勝利です。
日本伝統の変則チーム戦トリックテイキング
本当はもう少し細かいルールがあるのですが省略しています。
通常のトリックテイキングと比較して、変わっているのが絵札が公開されている点です。どちらがどの絵札を獲得したかが常に分かるので、カウンティングの必要性が少ないです。残りどのスートの何が残っているかが分かるため、それを確認しながらプレイすることができます。この辺りはカウンティングが苦手な人にありがたいです。
また、カンケイ側の席がもし隣り合っていた場合、右側の方がひとつ席を移動するというルールもあり、こちらも他では見たことがないめずらしいルールです。
カンケイ側は1戦目はジョーカーと切り札のAを持っているのである程度優位なのですが、2戦目からはどちらも持っていない可能性があり、なかなか勝ちづらいです。
今回5人で10ラウンドやってみたのですが、初めは「これカンケイ側キツすぎない?」となり、立て続けに負けました。カンケイ側になっていないプレイヤーが1位という状態が続いていたのですが、徐々にプレイングがつかめてきたようで、三タテも出始めました。
結果、9対3対-1対-7対-7という結構な差がつきました。三タテが出るかどうかで大きく得点が変わりそうです。今回1位のプレイヤーは三タテを2回成功させていました。
スコンクやじゅうろくは出なかったので、よほど手札がよくない限り、成功させるのは難しそうです。
チーム戦ならではの意思の疎通、絵札の枚数を数えるだけという分かりやすさ、自由に使えるジョーカーの出しどころなど、なかなか面白い要素が詰まっているトリックテイキングです。他に4人用ルールのダマリカン、3人用ルールのガンバリカンなども用意されているので人数に合わせて遊ぶことができます。