懐かしい名前をニュースで見かけたので、それについての思い出などを書き記そうかと思います。
謎の料理 ザーカイ
ボリューム満点の定食で学生らの胃袋を満たしてきた仙台市太白区若葉町の定食屋「佐々久」が31日、店主の高齢化などのため、39年の営業に幕を下ろす。豪快に積み重なった鶏肉の天ぷら、こぶし大のから揚げで親しまれてきた。思い出の味をかみしめようと、別れを惜しむ市内外のファンでにぎわっている。(河北新報 ONLINE NEWS)
大学生のとき、わたしは仙台市にある八木山というところに住んでいました。
八木山というと、県内の人ならば八木山動物園、心霊スポットが好きな人ならば八木山橋を思い浮かべるのではないでしょうか。
ひとり暮らしをしているとき、最初の方こそ自炊をしていたものの、徐々に外食や総菜を買ってくることが多くなっていきました。住んでいたところは住宅街だったので、少し範囲を広げれば、食べるところはいろいろあり、そちらを利用することが主でした。
佐々久は、そのうちのひとつです。
ある日、友達に「すごい店がある」と言われ、ついていったのが初訪問です。
外観はいかにも古くからやっている定食屋といった感じで、店内に入ると、どこの局か分からないようなラジオがかかっています。
最近ではあまり見なくなった、座るところが円形で真ん中に穴が空いている簡易椅子に友達と向かい合って座りました。
メニューを見ると手書きの文字で「ザーカイ天定食」という謎の料理が。
ザーカイ天……?
気にはなったものの、「最初は、から揚げがいいよ」と友達が言うので、から揚げ定食を注文しました。
そうしてやってきたのは、見たことのないほどの大きさのから揚げでした。
これは鶏肉のどの部分なんだ?と思えるほどのデカさで、そんな手榴弾のような大きさのから揚げが5個鎮座しています。
そこにキャベツとナポリタンが添えられ、味噌汁、山盛りのご飯と、見ただけでお腹がいっぱいになるほどのボリュームでした。
正面に座っていた友達がわたしの方を見て、にやりとしました。
食べても食べてもなくならない
わたしはどちらかというと、量を食べる方です。
外食において、量がいっぱいで残すということは、ほとんどありません。
しかし、これは今までのものとは様子が違います。
まず、ひとつひとつのから揚げの大きさが尋常じゃないです。
一口食べてみると、
「うまっ」
かなりのおいしさです。
通常イメージする、から揚げとはちょっと違う味付けでした。
かぶりつくと肉汁が溢れます。
けれども、おいしいと言っても、モノには限度というものがあります。
こんな大きさのものが並んでいれば、その限度を超えていると言わざるを得ません。
半分ほど食べたくらいで、頭の中に警告音が響きました。
(これ以上いくとやばいな……)
というわけで、その日はすべてを平らげることもできず、おずおずと帰宅したのでした。
ザーカイ リベンジ
後日、やはりザーカイが気になったので、後日ひとりで行ってみることにしました。
そうして、でてきたのは、大量の鶏の天ぷらでした。
どうもザーカイ天というのは、この鶏の天ぷらのことのようです。
から揚げと比べると、多少大きさはこぶりなものの、量が圧倒的です。
ぱっと見だけで10個以上が山盛りになっています。
前回の反省を活かし、今回はご飯小盛りで頼んだものの、そんな小細工で通用するような相手ではありません。
またしても半分くらい食べたところで、降伏しました。
当時を振り返って
わたしが食べたのは、もう10年以上前のことです。
その当時の記録を見ると、このボリュームで、ザーカイ天定食が650円、から揚げ定食が580円だったようです。
周辺は大学がいくつかあったので、お客のほとんどが大学生でした。
いかにも体育会系といった男子集団が、黙々とご飯をかっ込んでいたのをよく覚えています。
大学を卒業してから、その辺りに行く機会もなくなり、それ以来訪れることはありませんでした。
このニュースを見ると、現在はどちらも900円で提供されているようで、時代の流れを感じます。
こういった思い入れがあるお店がなくなるのは寂しいものです。
しかし、今行ったところで完食できないのは確かでしょうね……。