夏休みの宿題として、苦手だったものの代表に読書感想文があります。
同じように感じている人は多いのではないでしょうか。
読書感想文の意義
恐らく、読書感想文を課題として出す意味は、子供たちに本を読ませることにあるのでしょう。
普段あまり活字に触れていないような子供に対して、強制的に活字に触れさせるために、あのような課題が登場したのだと思います。
ただ、本を読みなさいといっても、普段本を読まない子はなかなか読むものではありません。
そのための対策として、最近では朝読書の時間などが学校では導入されているようです。
しかしながら、急に本を指定されて、「感想を原稿用紙3枚で書け」と言われても、簡単に書けるものではありません。
そもそも感想文の書き方など、学校で教えられた記憶がありません。
何も教えないままに「感じたことをそのまま書けばいんだよ」と言われても、ほとほと困り果ててしまうばかりです。
読書感想文で作文が得意になるか
記憶の限り、学校で具体的な作文の技法というのは教えてもらっていません。
最低限の原稿用紙の使い方のみで、テクニックはほとんど教えてくれなかったように思います。
そんな状態で、書けと言われても、多くの子供が拒絶反応を示すだけで、これをきっかけに文を書くことが得意になるという可能性は非常に少ないのではないでしょうか。
本を読むことだけを課題とした場合、問題となるのはその確認の仕方です。
読んだかどうかは客観的に他者が判断できるものではありません。
(もちろんずっとそばにいて、読んでいる姿を見ていれば別ですが)
その読んだかどうかを確認する手段として、感想文が採用されたのでしょう。
そんなに感想なんて書けるものか
これは子供に限らず、大人にも言えることでしょうが、1冊の本を読んで、その感想を1200字(400字詰め×3枚)で書きなさいと言われて、スラスラ書ける人は少ないはずです。
大前提として、そんなに感想があるものでしょうか。
「面白かった」「つまらなかった」「感動した」
感想なんて、普通そのくらいでしょう。
原稿用紙を埋める苦肉の策として、多くの子供が使う手段が「あらすじを書く」というものです。
その本のあらすじをとにかく書いて、最後に申し訳程度に感想を書く。
これが多くの読書感想文の形式でしょう。
感想文の代替手段
ただ、あまりにもあらすじばかりを書いてしまうと、困ったことに「これは感想じゃなくて、あらすじだね」と注意されるケースも出てきます。
いや、そう言われましてもね……。
- 本を読む
- 文を書く力を身につける
- 他者がそれを客観的に確認できる
この3つの条件を満たすならば、そもそも要旨の作成で十分ではないでしょうか。
その本のあらすじを書くだけで、十分に条件を満たすことができます。
そうすれば、その本に感動しなくたって、何の労苦もなく文を作ることができるはずです。
1冊の本を原稿用紙3枚にまとめるというのは、そこまで難しくはないでしょう。
「あらすじなんて、ネットを検索すれば、いろいろ出てくるじゃないか」
そういう意見ももっともです。
しかしながら、今ではネットを検索すれば、読書感想文自体を見つけることができるのです。
いろいろな感想文をコピーアンドペーストして、感想文を作る子供は、このご時世、珍しくはないでしょう。
コピペでもって、レポートを作成している大学生も多いはずです。
そうなるともはや学校の課題として出す作文の意義すら怪しくなってきます。
むしろ、コピペの技法の方がよほど役に立つような気すらしてきます。
文を書くために
ブログやメール、TwitterやFacebookなどのSNS、LINEなどなど、大人になっても文を書く機会はいろいろとあります。
そのため、ある程度の作文能力は必須でしょう。
しかし、その能力を育成する方法として、読書感想文が適切な方法だとは思えません。
毎日日記でも書いていた方が、作文能力は遙かに身につくはずです。
小学生のとき、学校で毎日のように「活動記録ノート」というものを書かされていました。
要は日記のようなもので、帰りの会の前の空いた時間に、各自がノートにその日の記録や思ったことを書き綴っていました。
今考えみると、あの経験は相当に役立ったと思います。
特に何を書かなければいけないという指定もなかったので、負担も少なく、それに対し、先生が毎日コメントをくれるので、単純に書くことが楽しかった記憶があります。
文を書くモチベーションを高めるのは、やはり他者の反応です。
先に挙げたようなブログやSNSだって、誰も何の反応も示してくれなければ、続けていくのは困難です。
自分が文を書いて、誰かが何かしらの反応をしてくれる。
そういう経験値が高まれば、文を書く力もどんどんついてくるはずです。
そう考えるとやはり、わざわざ夏休みの課題として、読書感想文などを課すよりは、普段から短い文を書いていた方がよほど力がつくだろうと思いますね。