ナポレオンは明治時代から遊ばれているトランプを使ったトリックテイキングです。4~7人用ですが、5人がベストとあったので、今回は5人で遊んでみました。基本は2対3で戦いますが、場合によって1対4にもなるチーム戦のゲームです。
ナポレオンについて
使用するカード
通常のトランプ52枚+ジョーカー1枚
カードの強さ
もっとも強いのは♠A(オールマイティ)
次が切り札のJ(正ジャック)
その次が切り札と同じ色のJ(裏ジャック)
ランクの強さはAがもっとも強く、2がもっとも弱い。
ゲームの流れ
最初のディーラーを任意の方法で決め、以降ディーラーは時計回り。
カードを1枚ずつを各自に10枚配ります。あまった3枚はウィドーと呼ばれ、裏にしたまま置いておきます。
ディーラーの左隣からビッドをします。
ビッドは切り札にしたいスートと獲得する絵札(A、K、Q、J、10)の枚数を同時に宣言します。たとえばハートを切り札にして、絵札を12枚以上獲得するという場合は「ハートで12」といった感じです。
次からはそれよりも強いビッドをします。この際、スートにも強弱(♠、♡、♢、♣の順)があるので、同じ枚数であっても強いスートならばビッドできます。たとえば「ハートで12」と言った後に「スペードで12」とビッドすることが可能です。
ビッドはソフトパスなので、ひとり以外の全員がパスするまで続きます。
最後にビッドした人がナポレオンとなり、副官を指名します。
副官の指名は好きなカードを1枚指定することで行います。「♢の12」と指定するとそのカードを持っている人が副官になります。この情報は非公開情報のため、カードがプレイされるまでは自分が副官だと名乗り出てはいけません。
それからナポレオンはウィドーの3枚を手札に入れ、好きな3枚を裏向きで戻します。
副官を指名する際に宣言したカードを自分が持っていた場合、あるいはウィドーの中に入っていた場合は1対4で戦うことになります。
トリックは通常のマストフォローです。
注意が必要なのは、オールマイティ、正ジャック、裏ジャックの存在で、これらのカードは切り札スートではなく、カードのスートに属します。
10回のトリックを行い、ナポレオンと副官が獲得したトリックの中にビッドした数以上の絵札があれば成功です。この2人が勝ちとなり、他のプレイヤーが負けとなります。ビッドした数に満たなかった場合、この2人が負けで、他のプレイヤーの勝ちとなります。
何ディールか行い、もっとも勝ち数が多いプレイヤーの勝利です。
ジョーカーの存在
ジョーカーは特殊なカードで好きなタイミングで出すことができ、最弱です。
ただし、リードのときに出すと切り札の中の1番強いカードの扱いになるため、他のプレイヤーに切り札請求しつつ、それに勝つことができます。ただし、オールマイティには負けます。
セイムツー
トリックがすべて同じスートで構成されている場合、2がもっとも強いカードになります。ただし、オールマイティ、正ジャック、裏ジャックには負けます。
ジョーカーが混ざっているとセイムツーは発生しません。
よろめき
オールマイティが出ているトリックに♡Qを出すと、♡Qが勝ちます。
日本で遊ばれている昔ながらのトリックテイキング
名前は知っていたのですが、実際に遊ぶのは初めてでした。今回はトランプゲーム大全の基本ルールにもとづいて遊んだのですが、ヴァリアントが18項目も載っており、いかにたくさん遊ばれているかが分かります。この辺り、大富豪(大貧民)につながるものがあります。
ゲーム自体はオーソドックスなトリックテイキングなのですが、Jの存在がなかなか曲者で出た瞬間に「これは正ジャック?裏ジャック?それとも何でもない?」と戸惑ってしまいます。
また、♠Aのオールマイティにも慣れていないので、切り札スートで勝てると思って、負けてしまうということもありました。
今回は誰かが勝ち点5になるまでやるという形式で遊びました。さすがに昔から遊ばれているだけあり、ゲームの楽しさはかなりのもので4時間半で3戦ほど遊びました。
恐らくナポレオンは「これを持っていれば確実に勝てる」という状況をなくすためにルールが足されていったのではないでしょうか。
切り札であっても裏ジャックに負けたり、最強であるオールマイティもよろめきで負けたりと、どのカードであっても負ける可能性が残されているところが面白いです。逆に本来は最弱で使い途がない2がセイムツーによって勝てるというのも面白いところです。
ただ、いくつか不満点もあります。
まず1つがソロの存在です。
宣言したカードを自分が持っていた場合とウィドーにあった場合、1対4で戦うことになるのですが、ここで勝っても勝ち点は通常通り1です。かなりリスクがあるので、ここは勝ち点増やしても良さそうだなと思いました。そうでないと、わざわざ自分からソロでいく意味がありません。
次にビッドです。
ビッドは成功か失敗かしかないので、10ビッドで勝っても20ビッドで勝っても勝ち点は同じです。そのため、このゲームでは大きく賭けて一発逆転といったことが不可能です。
ただ、この辺りの不満はこれまでにいろいろなトリックテイキングをやっているからこそ出てくるものでしょう。○か×かのシンプルなルールだからこそ、ここまで広く普及されたのかもしれません。
誰が味方か分からないままゲームを進めていく妙が楽しめるトリックテイキングです。