グラバーは幕末の長崎を舞台とした3~5人用の交渉ゲームです。プレイヤーは商人として他のプレイヤーと交渉したり、グラバーと取引したりして、より多くの契約書(得点)を集めることを目指します。第2回東京ドイツゲーム賞で大賞を受賞した作品でニューゲームズオーダーから商品化されました。
グラバーについて
プレイヤーは担当する色を選び、その色のついたてと商人コマを受け取ります。また、初期建物として事業所と工作所をそれぞれ受け取ります。
商品コマは5色ありますが、これは特に何かを指している(黒が貧困、茶色がシュトルーデルなど)わけではありません。
各プレイヤーは自分が担当する色の商品コマを多く生産することになるので、自分の手から届きやすいところにその色のストックを置いておきます。
人数によってラウンド数が決まっています。たとえば、5人で遊ぶ場合は全4ラウンドです。また、各ラウンドは3つのフェイズに分かれています。
1.生産フェイズ
各プレイヤーは建物タイルの効果を利用して、商品を生産します。
2.交渉フェイズ
スタートプレイヤーから順番に手番を行います。
交渉は自分から提案をして、それに対してもっともいい交換条件を示した1人と行います。ただし、交渉はそのまま行う訳ではありません。
このゲームの大きな特徴でもある交渉カードの存在があります。
交渉開始時、プレイヤーは山札から3枚の交渉カードを引きます。その中の1枚は表向きで捨て、1枚は裏向きで山札に戻し、残り1枚を交渉で使用します。
交渉カードには提案したキューブの数を減らしたり、ストックから追加であげたりといった内容が書かれています。それにより、グラバーに対する信頼度が上下します。
3.グラバーフェイズ
コストを支払い、本店を改装したり、新たな建物を借用したり、契約書を得たりします。
このゲームにおけるコストは何種類のコマを使うかの数字だけが書かれています。そのため、商品コマの価値は色に関わらず均等です。
グラバーフェイズは基本的にコストがある限り、どれを何回行っても構いません。
全員がグラバーフェイズを終えたら、ラウンド終了です。
規定ラウンドを行い、もっとも多くの得点を獲得したプレイヤーの勝利です。
選択肢が限られるユルめの交渉ゲーム
交渉がメインのゲームですが、一般的な交渉ゲームと比べると自由度は低めです。
交渉は一巡しかなく、どのキューブを何個ずつ交換するかしか選択肢はありません。
さらに交渉カードによる縛りもあります。たとえば、どんどん信頼度をあげるプレイをしたいと思っていても、信頼度が下がるカードばかりを引いてしまうと思ったように進めることができません。
もちろん、こういったしばりは「いきなり自由に交渉していいと言われても困る」といったプレイヤーにはありがたい設定です。
今回は5人で初回のオススメセット「商人の基本」で遊んでみました。(建物タイルは18種類中8つを使うのでさまざまな組み合わせがあります)
全員が初プレイで、ルール説明からゲーム終了まで1時間半ほどでした。
交渉に対するスタンスは、やはり人それぞれで、多少信頼度を下げつつもコマを多く取りにいくプレイヤーや、誠実プレイで信頼度を勝ち取るプレイヤーなど、いろいろなやり方が見られました。
わたしはまったく相手を裏切ることなく、単純にコマの生産量を増やしていき、それを元に拡大していく方針でプレイしました。
相手への裏切りはグラバーの信頼度がさがるだけでなく、他のプレイヤーの信頼度も下がります。「あの人は裏切るやつだ」という印象がつくと、なかなか良い条件での交渉は難しくなります。
ルールもそれほど多くなく、やることもはっきりしているため、遊びやすいゲームです。建物タイルの種類も多く、10枚の協力者カード(そのラウンドで起こるイベントのようなもの)もランダムで登場するので、まったく同じような展開にはなりにくいです。そのため、リプレイ性は高いです。
5人で遊ぶ場合、それぞれが商品コマを生産するので、普通に交渉ができれば5色揃えるのは難しくありません。4人以下で遊ぶ場合は、その辺がどうなるのか気になるところです。