ポンプ消防隊(Pompiers!)は5ラウンドを通じてさまざまな課題を達成していく4~5人用のトリックテイキングゲームです。国産ゲームにも関わらず箱やコンポーネントが英語で和訳シールがついているというこだわりにも注目です。
ポンプ消防隊について
カードは4スート、1~15までの合計60枚です。プレイ人数によって使用する枚数が異なります。他に濃い緑の基本課題タイルと薄い緑の緊急課題タイルがあります。基本課題タイル5枚は常にすべて使用します。緊急課題タイルは山札にしてめくっていきます。
各プレイヤーは5枚のカウントチップを受け取ります。カウントチップは未達成面(黒)にしておき、自分の前に並べておきます。この上下に獲得したトリックを置くことになるので、ある程度のスペースが必要になります。
各プレイヤーに手札を10枚ずつ配ります。残りは山札として置いておきます。
基本課題タイル5枚を横に並べます。
緊急課題タイルはラウンド開始時にラウンド数と同じ枚数めくられます。
山札から1枚をめくり、これが切札スートになります。
以降は切札あり、マストフォローのトリックテイキングを手札がなくなるまで10トリック行います。獲得したトリックは現在のラウンドのルームスペース(カウントチップ)の上下に置きます。
その後、課題が達成できたかどうかを確認していきます。
課題は「○トリック目を獲得する」「1トリックも取らない」「ちょうど2トリック取る」などいろいろあります。
基本課題が達成できた場合は自分のカウントチップを裏返します。
緊急課題が達成できた場合はそのタイルを受け取ります。
これを5ラウンド行い、ゲーム終了時にもっとも多くの得点を獲得したプレイヤーがゲームに勝利します。
随所にゲームに対する愛が感じられる作品
既視感あるゲームコンポーネント
まず注目したいのがコンポーネントです。
箱はすべて英語表記で外側に別袋で和訳が貼り付けてあります。ちなみに箱の中にはしっかり英語ルールが入っています。
さらにタイル表記も英語で日本語シールが用意されています。
和訳ルールもどこかで見たことがある様式で、小箱の和訳つき輸入ゲームを買ったことがある人ならば「おっ」と思われるはずです。
こういった遊び心がボードゲーム愛好者を惹きつけます。
ヴァス・シュティッヒとの対比
ゲームは課題達成型のトリックテイキングなので、バスシュティッヒを思い浮かべる方も多いでしょう。
バス・シュティッヒの大きな特徴は手札を取るところからゲームが始まっている点です。すべてのカードが公開されている状態からカードを取っていき、どれが切札なのかを予想しながらゲームを組み立てていきます。
課題の達成はどちらかというと、その答え合わせの意味合いが強いです。
ポンプ消防隊はゲームを通して達成すべき課題とラウンドごとの課題があり、その達成こそがメインになっているため、だいぶ雰囲気は異なります。
実際にやってみるとプレイ感もかなり違います。
ポンプ消防隊は何人で遊んでも山札が残るため、完全なカウンティングができないようになっています。「トリックテイキング=カウンティング」のイメージは強く、そのせいで苦手という人も多いはずです。
非公開情報があることで、この辺がだいぶ和らいでいます。
また、ラウンド中にどの課題を達成しても良いというのもポイントです。
ヴァス・シュティッヒではそのラウンドでどの課題を達成するか最初に決める必要があります。そのため、ゲームが始まってすぐに失敗ということも多いです。
ポンプ消防隊ではラウンド終了時に条件を満たしていればいいので、「これでいこうと思ったけど、ダメだったからこっちにしよう」ということが可能です。
この2点により、だいぶ遊びやすく仕上がっています。
ゲーム中に感じられる面白さ
今回は4人で遊んでみたのですが、プレイ途中で「これ面白いね」という声が聞かれるほど好評でした。わたし自身も「これはよくできてるなぁ」とプレイ中に思わず声に出してしまいました。
シンプルなマストフォローのトリックテイキングですが、さまざまな課題があるおかげで展開も豊かです。課題によっては負けることを目指すため手札が弱くてもゲームになります。
遊んでみるとさまざまなところに想いや愛が感じられる作品です。
トリックテイキング好きにはもちろん、トリックテイキングを遊んだことがない人もぜひ遊んで欲しいゲームですね。
- 準備段階で3/8タイルの下に並べた薄い緑の課題タイルはゲーム中ずっと変わりません。
- そのラウンドで達成されなかった緊急課題タイルは一旦避けておき最後のラウンドで使用します。
- NO RED CARDSなどの緊急課題を達成するためには少なくても1トリック以上獲得している必要があります。
- 各色の1~9までのカードを使用する。
- 全4ラウンド。
- 緊急課題は各ラウンド3枚ずつ公開される。
- 緊急課題のRラウンド目とR+5ラウンド目を使用しない。
- 最終ラウンドは残っている緊急課題に加え、それまで誰も獲得出来なかった緊急課題が再び公開される。
- 「手札11枚配って1枚返す」のバリアント推奨。