シンギュラリティはImprovement of the POLISで一躍有名になった慶應HQによる3作目の作品です。プレイヤーは経営者として第4次産業革命の中、企業を繁栄させることを目指します。誰かが技術的特異点(Singularity)を迎えるとゲーム終了です。
シンギュラリティについて
各プレイヤーは個人ボードを受け取ります。資産や税収、在庫などはこのボードで管理します。他に手札として7枚のアイデアカードがあります。これはゲーム開始時にドラフトします。
他に相場価格を表す価格表ボードとAI開発ボーナスを管理するボード、イノベーションカードを置くボードがあります。
手番では以下のフェイズをすべて行い、次のプレイヤーに交代となります。
- 開始フェイズ
- 購入フェイズ
- 生産フェイズ
- アクションフェイズ
- 終了フェイズ
原料となるのはFRP(繊維強化プラスチック)とIC(集積回路)の2種類です。
これを規定の数だけ集めてモバイル端末や自動運転車、自動ロボットなどを製造していきます。
一定の条件を満たすとイノベーションカードが獲得できます。これを獲得するとゲームを有利に進めることができます。ただし枚数が決まっているので早い者勝ちです。
誰かのAIレベルが5に達したら、その人以外がもう一手番ずつ行い、ゲーム終了です。
最終得点計算を行い、もっとも得点が多いプレイヤーの勝利です。
やがてくる未来をシミュレート
今回は4人全員が初プレイで説明に30分ほど、プレイには3時間ほどかかりました。
やるべきこと自体はそれほど難しくないのですが、どうすれば勝てるのかはなかなか見えてきません。ゲーム中、工場を造って拡大していけばいくほど収入がマイナスになっていくので「これで本当に大丈夫なのか」と不安になります。
そういった意味で見通しはよくありません。
AIレベルを上げることで以下のようなボーナスが得られます。
- 技術
- ボーナス得点
- アクション数の増加
- 在庫上限数の増加
ただし、AIレベルは5で終了トリガーになるので、この中から最大で5個しか選ぶことができません。
これがまた非常に悩ましいです。
アイデアカードをプレイするためには誰かが技術を獲得している必要があります。もちろん技術を得ることでメリットもあるのですが、これを解放することで他の人もカードをプレイできるようになります。そのため、誰が技術を取るのかという腹の探り合いが起こります。
自分で技術を獲得していれば対応するカードはコストなしでプレイすることができます。ただし他の人が獲得した技術を使う場合は3金をストックに支払う必要があります。このストックに支払うというのも曲者で、技術を取った人に払うわけではないのです。
また、自律ロボットやアンドロイドも誰かが造らないと購入できないので、さまざまなところで意図せぬ協力体制が生まれます。
他の拡大再生産のゲームとシンギュラリティの大きな違いは労働者の扱いです。一般的には労働者が多くなるほど選択肢が増えて有利になります。シンギュラリティでは労働者を解雇していくことで収入が増えていきます。
労働者は知能労働者、技能労働者、作業労働者の3種類ですが、知能労働者は終了トリガーのイベントによって全員いなくなってしまいます。
今回のゲームでは最終的に全労働者がいなくなったプレイヤーが出て、これから来る未来を感じさせました。(ちなみにそのプレイヤーが勝利しました)
手数を増やすのか所持数を増やすのか、原料を造るのか買うのか、どのくらいまで収入を減らすのかなどなど、さまざまな選択を迫られます。
決して万人受けするような内容ではありませんが、好きな人にはたまらない要素が詰まったゲームです。