「スマートフォン株式会社」と「モバイルマーケット」は、どちらもスマートフォンの販売をテーマにしたゲームです。
「モバイルマーケット」は「スマートフォン株式会社」のカードゲーム版と言われることもありますが、実際に遊んでみるとかなりプレイ感は異なります。
今回は、この2つのゲームをさまざまな視点から比較レビューしてみます。
スマートフォン株式会社とモバイルマーケットの比較
基本情報について
スマートフォン株式会社(原題:Smartphone Inc. )は、2018年に発売されたゲームです。
作者はIvan Lashin、プレイ人数は1~5人、プレイ時間は60~90分という中量級ゲームです。
モバイルマーケット(原題:Mobile Markets: A Smartphone Inc. Game)は、2021年に発売されたゲームです。
作者は同じIvan Lashin、プレイ人数は1~4人、プレイ時間は40~80分とスマートフォン株式会社よりも若干短いです。
どちらも日本語版は数寄ゲームズさんが手がけています。
テーマの比較
スマートフォン株式会社
プレイヤーはスマートフォンの製造会社を経営し、世界でもっともパワフルな会社にすることを目指します。
ビジネス上の意思決定を行い、スマートフォンの価格を設定し、生産体制を改善し、技術を開発し、商品を製造し、物流と販売を処理します。
ゲームの目的はできるだけ多くのお金(VP)を稼ぐことです。
モバイルマーケット
プレイヤーは新世代のモバイル技術に対応する多国籍家電メーカーのCEOです。
世界中のタイプの異なる顧客に向けて、技術的な機能、ジャーナリストのレビュー、消費者の評価を上手く活用して販売競争に勝利することを目指します。
ゲームの目的はライバルよりも多くのお金を稼ぐことです。
スマートフォン株式会社はスマートフォンの製造を手がけますが、モバイルマーケットではスマートフォンを仕入れて販売することになります。
コンポーネントの比較
スマートフォン株式会社
ゲームのメインとなるのは全体ボードです。
そこに各プレイヤーのオフィスマーカーや進捗マーカーなどを配置していきます。
各プレイヤーの手元にはパッド、ついたて、マーカーがありますが、ラウンド最初のパッドの組み合わせ以外は、全体ボードを着目することになります。
ボードに書かれた技術カード以外はほとんどテキストがありません。改善タイルもアイコン表示のため、毎回読み込むような必要もないです。
モバイルマーケット
ゲームボードに並べられた各種カードと各プレイヤーが持つ企業ボードを見比べる必要があります。
市場でどういった需要があるのかを考えつつ、スマートフォンの機能の構成を考えます。
カードがメインとなるためテキストを読み込む必要があります。
イベントカード、技術カード、販売施策カードはすべてテキスト効果のため、ゲームに追加されるたびに確認する必要があります。
スマートフォン株式会社がボードにコマを置いていくのに対して、モバイルマーケットでは手元にカードを並べていくことになります。
メカニクスの比較
スマートフォン株式会社
- Action Queue
- Area Majority / Influence
- Layering
- Network and Route Building
- Simultaneous Action Selection
- Solo / Solitaire Game
- Variable Set-up
スマートフォン株式会社では世界の都市が書かれたゲームボード上に自分のオフィスを建てていきます。各都市には置ける個数が決まっており、置く順番で得点が変わるため、エリアマジョリティの要素があります。
また、新たなオフィスを建てるには都市と隣接する必要があるため、ネットワークビルドの要素もあります。
モバイルマーケット
- Action Queue
- Deck, Bag, and Pool Building
- Layering
- Open Drafting
- Simultaneous Action Selection
- Solo / Solitaire Game
- Turn Order: Stat-Based
モバイルマーケットでは機能カードを購入し、それを毎回組み合わせてスマートフォンを作る構築要素があります。
また、場に並んだカードを手番順に獲得していく、ドラフト要素があります。
プレイ人数の比較
スマートフォン株式会社は1~5人で、モバイルマーケットは1~4人で遊ぶことができます。
それほど大きな違いはなさそうに思えますが、BGGによるスマートフォン株式会社のベスト人数は5人です。3~4人でも悪くはないですが、エリアを競い合うため多人数でのプレイが向いています。
それに対してモバイルマーケットのベスト人数は2人です。カードゲームでテキストを読み込む必要もあるため、4人で遊ぶのはあまり勧められていません。(ただし、こちらは新しいゲームのため得票数は少ないです)
プレイ人数だけ見るとあまり違いはなさそうですが、スマートフォン株式会社は多人数向け、モバイルマーケットは少人数向けとベスト人数が異なります。
スマートフォン株式会社は5人ベストというイメージが強いですが、「Smartphone Inc.: Update 1.1」という拡張セットには2~3人で遊ぶためのボード(下写真)が入っています。これを使うと3人でも十分面白いです。
展開の多様性の比較
スマートフォン株式会社
スマートフォン株式会社では6種類の技術タイルを使用します。
その組み合わせによって得られる効果が変わりますが、ゲームの流れ自体にそこまで多くの変化はありません。
また、パッドに組み合わせて使う改善タイルがランダムで登場しますが、アイコンの種類が限られているため、こちらもそこまで大きな違いはないです。
モバイルマーケット
カードがランダムで登場するため、その組み合わせによってかなり展開が変わります。
しかも、すべてが異なる効果のため、まったく同じような展開には、ほぼなりません。
ただし、その分、運要素が強くなるため、最初から方針を決めて進めるというよりは、そのときの最善手を選んでいく感じになります。
モバイルマーケットはイベントカードによる影響も大きいため、ゲームごとにかなり展開が変わってきます。
結局、どっちがおすすめ?
パッドによるプロットや安い順に売っていくところなど、似通っているところは多いですが、プレイ感は別物といってもいいほどです。
- 5人で遊ぶ機会がある人
- テキストが多いゲームが苦手な人
- パッドの組み合わせによるパズル要素が好きな人
- エリアマジョリティのゲームが好きな人
- テキスト効果によるコンボが好きな人
- 毎回違った展開を楽しみたい人
- 少人数で遊ぶことが多い人
- いろいろな戦略を楽しみたい人
どちらもゲームとしての完成度は高いため、一定以上の面白さは感じられるはずです。
ぜひ自分の好みに合いそうなほうを遊んでみてください。
各ゲームの詳細について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。