Through the Ages(時代を越えて、スルーザエイジ、スルージエイジズなどの呼び方がありますが、以下、スルーと呼びます)とNations(ネイションズ)というボードゲームがあります。
どちらもプレイ時間、3時間を上回る大作で、共に文明を築いていくテーマです。
文明を築く2つのゲーム
スルーが2006年の登場で、ネイションズは2013年の登場です。
約7年の差がありますが、いろいろと共通点が多いです。
なかなかの重量系のゲームなので、両方をじっくりとプレイしたという人はそこまで多くはないでしょう。
わたしはスルーをフルゲームを10回以上、
ネイションズも10回以上遊んでいます。
どちらも非常に面白いゲームなのですが、個人的にはネイションズの方が好みです。
以下、2つを比較しながら、その理由を説明していきます。
ルールの難解さ
どちらのゲームも個人ボードがあり、さらにカードが並べられるボードが用意されます。
一定のコストを支払い、そこからカードを取得し、自分のボードに配置していくというスタイルも一緒です。
ただし、スルーには手札という概念があり、これは自分だけが分かる非公開情報になります。
ネイションズには、手札がないため非公開情報がありません。取得したカードは、ボード上に配置されるか、すぐに効果が発動します。
そのため、人のボードの状況や、資源の量を見比べつつ、アドバイスすることも可能です。スルーでは人の手札をのぞき込む必要があるので、なかなかそういうことはしづらいです。
また、生産の際に資源を発生するのですが、その際に処理しなければならないことが、スルーにはいろいろとあります。あまり資源を出し過ぎると汚職になったりするので、その調整も必要です。慣れるまでは、かなりややこしい手順です。
他にもルールは多く、最初の数回はやる度にルールが変わってしまうほど、理解するまでに回数が必要でした。
しかし、ネイションズはそこまで難解ということもありません。
もちろん、自分が何度もスルーをやったという経験が関係していることもあるでしょう。それでも一度やればすんなりルールは飲み込めるレベルです。
これをシンプルととるか、浅いととるかで評価が変わってくるでしょう。
資源トークンの分かりやすさ
上の青いトークンと黄色いトークンがスルーの資材トークンです。
青が、資材であり、食料でもあります。
黄色が人で、建物に配置したり、軍隊を編成したりします。
下がネイションズのトークンです。
左から、食料、金、石、労働者です。
食料は供給時に使い、金はカードを買うために使い、石は労働者を配置するために使います。
スルーのわかりづらいところの1つとして、この資材があります。
同じトークンが資材であり、食料でもあるというのは、なかなかピンときません。
それに対し、ネイションズはそれぞれの資材の役割が明確で一目瞭然です。
カードのテキスト量の多さ
テキストの量はスルーの方が多いです。
これはそもそもカードの種類が多いことによるところが大きいです。
結構な量の英文が書いてあるので、英語アレルギーの人には辛いはずです。(現在は日本語版が発売されましたが)
それに対し、ネイションズは、あっても一行二行程度の英文で、ほとんどがアイコンで理解することができます。
個人ボードの個性
スルーの個人ボードは全員が同じものです。
ネイションズの個人ボードは、A面が全員共通で、B面は国ごとに個性があります。
全部の国が別々の特殊能力を持っているので、「このボードだと、こういう方針でいける」というのが、つかみやすいです。
公平性を高めるのであれば、A面を使えば問題ありません。
個人的にはいろいろ違いがあった方が面白いと思うので、遊ぶときにはもっぱらB面を使っています。
イベントの明確さ
ネイションズでは毎回アクションが始まる前に、そのラウンドで起こるイベントが発表されます。
そのため、それに対応したアクションをすれば、とりあえずの指針になります。
これをわかりやすいととるか、不自由ととるかは好みの問題でしょう。
スルーのイベントは、自分で選択したものを山札に埋め込むことになります。
そのため、自分で入れたイベントのみが把握でき、他の人が入れたイベントは何かはわかりません。
展開の派手さ
ゲーム展開の派手さは、圧倒的にスルーです。
終盤のイベントで、簡単に大きな差がひっくり返ることもよくあります。
そもそも戦争が、人の得点を奪う形になるので、大きなリードがあっても、一気に追いつくことが可能です。時代4にある「Impact of ○○」というイベントも大きな得点源となります。
それに対し、ネイションズの戦争は、自分の得点が上がるわけではありません。
単に相手の点数や資源を減らすようなイベントになります。
また、スルーの戦争が相手を指定できるのに対し、ネイションズの戦争は、全員が対象となります。
この辺りも好みが分かれてくるのではないでしょうか。
ネイションズは後半になっても、そこまで劇的に点数が上がらないので、逆転しづらいという面はあります。
オススメはやはりネイションズ
ほとんど重量級のゲームをやったことがないという人には、間違いなくネイションズをオススメします。
しかし、ある程度の重量級を経験していると、ネイションズでは物足りないと感じるのは事実でしょう。スルーをプレイしている人ならば、ネイションズは、あまりにもあっさりしすぎていると感じるのではないでしょうか。
2つのゲームの大きな違いとして、プレイ人数の幅もあります。
スルーが2~4人用なのに対し、ネイションズは1~5人です(ソロルールもあります)。
また、スルーは遊ぶ人数によって、使わないカードが出てくるので、その辺りの準備の煩雑さも難点の1つです。
ただし、ネイションズがシンプルといっても、3時間以上はかかるので、今まで1時間くらいのゲームしかしたことがないという人には、あまり差はないのかもしれません。
ネイションズの変わった特徴として、難易度調整があります。
これは他のボードゲームでもあまり見ない点です。
各プレイヤーごとに、難易度を設定することができ、それにより、プレイレベルの差を補うことができます。
先日、3人で3連戦したとき、ルールを把握すればある程度ゲーム展開が早くなるかなと思ったのですが、特にそういう感じもありませんでした。ただ、これはプレイヤーの思考時間の問題もあります。わかってくると逆に長考してしまうシーンも出てきます。
※当サイトの記事を「積み上げボードゲーム積み下ろし会」さんの「金沢盤遊倶楽部 新春例会 (1月3日)」の記事にて紹介していただきました。ありがとうございます!