2005年に発売されたケイラスと、2019年に発売されたケイラス1303の比較記事です。どのようなところが違うのか、さまざまな面から比べています。
ケイラスとケイラス1303の基本情報
ケイラス | ケイラス1303 | |
発売 | 2005年 | 2019年 |
プレイ時間 | 60~150分 | 60~90分 |
プレイ人数 | 2~5人 | 2~5人 |
対象年齢 | 12歳以上 | 10歳以上 |
Weight(難易度) | 3.81 | 2.94 |
デザイナー | William Attia | William Attia |
内容物の違い
資源はどちらも食料、木材、石材、布地、黄金の5種類。
ただし、ケイラスにあったお金(ドゥニエ)はケイラス1303ではなくなった。
また、ケイラスにあった行政官コマもない。
ケイラス1303では新たに人物タイルが加わった。
得点はスコアトラックではなく、名声点トークンで管理するようになった。
家コマと労働者コマはどちらも共通しているが、ケイラス1303ではお金のように使用するため数が多い。ケイラスが1人6個なのに対してケイラス1303は15個ずつある。
ケイラスの建物タイルは片面のみだが、ケイラス1303の建物タイルは準備面と建設面の両面仕様になっている。
ルール上の主な違い

ゲームの終了タイミング
ケイラスではラウンド終了時に行政官コマが1マスか2マス進み、それが規定のラインを越えるとゲーム終了。または、塔の14マスがすべて建設されても終了。
ケイラス1303は固定で全9ラウンド。
ワーカーの配置と回収
ケイラスではワーカーを配置するために1ドゥニエが必要。その後、誰かがパスするたびに1ドゥニエずつ高くなっていく。そのため、最大で5ドゥニエまでのコストがかかる。ただし、自分の建物はどのタイミングであっても1ドゥニエで置ける。
ケイラス1303では最初は配置コストはかからない。誰か1人でもパスすると、以降はコストとしてワーカー1つを野営地(ストック)に戻さなければならない。何人パスしても1つのまま。
ケイラスでは使用済のワーカーは手元に戻ってくるが、ケイラス1303では使ったワーカーはすべてストックに戻される。(収入としてラウンド終了時にワーカーが支給される)
ランダム性
ケイラスでは毎回すべての建物を使用。
木造タイル、石造タイル、住宅タイル、名声タイルはサプライにすべて並んでいる。唯一のランダム性は中立タイル6枚の順番だけ。
ケイラス1303では建設現場の3枚、道中の石造タイル1枚がランダムに選ばれてボード上に配置される。残りはケイラス同様、すべてがサプライとして並ぶ。
ケイラス1303の人物タイルはプレイ人数+3枚を使用し、残りはゲーム中に登場しない。
監督官の扱い
両方とも監督官コマの移動のフェイズがある。
ケイラスではドゥニエを支払い1~3マス、ケイラス1303ではワーカーを支払い1~3マスを、パスした順に移動させる。
監督官より先の建物が発動しないルールも同じ。
ケイラスでは商人ギルドのアクションで1~3マスを無料で動かすことができたが、ケイラス1303の料金所のアクションでは0~2マス。
恩恵
ケイラスはボード上に恩恵テーブルがあり、そこを進めていくことで「得点」「お金」「資源」「建設」のいずれかがもらえた。恩恵テーブルは5ステップあり、先に進めるほど効果が強力になる。(そのマス以前の効果も選ぶことができる)
ケイラス1303では恩恵テーブルが廃止され、「他の人の人物タイルを奪う」「ボード上にある人物タイルを獲得して建設現場の建物を使う」の2種類だけになった。
城の建設
ケイラスでは決算により、城の建設の場所が決まっていた。
地下室、城壁、塔の3つの区画があり、1セットにつき5点、4点、3点と後半になるにつれ得点が減っていく。ワーカーを配置したのに建設しなかったり、区画に1つも自分のコマがなかったりすると減点。
ケイラス1303では、建設現場への納入というアクションになっており、資源を支払えば1セットにつき5点が入る。減点要素はなくなった。
どちらもコストは(食料+異なる2種の資源)の3個で1セット。
決算
ケイラスでは監督官の進み具合によって3回の決算が行われる。
そのとき、区画に家を置いていないとマイナス2点で、一定数以上の家を置いていると、その数に応じて恩恵が得られた。
ケイラス1303に決算はない。
名声タイルの建設
ケイラスではアクションで名声タイルを建てる。
ケイラス1303ではラウンド終了時の処理で、名声タイル(記念碑)を建てるフェイズがあり、ワーカーを配置しなくても建てられるようになった。
ゲーム終了時の得点
ケイラスでは黄金1つにつき3点、資源3つにつき1点、4ドゥニエにつき1点が追加される。
ケイラス1303では黄金1つにつき2点のみで、資源やワーカーは得点にならない。(得点化するアクションはある)
2つを遊んでみての感想

結論から言うと、ケイラス1303の方が遊びやすい。
ケイラスで考えどころの1つであった恩恵テーブルがなくなったため、ワーカープレイスメント部分に集中できるようになったのが大きい。
また、分かりづらい部分であった決算がなくなったのも遊びやすくなった理由の1つ。
ケイラスでは3つの決算があり、その進行度に応じて使用できる恩恵が変わる。さらに決算には減点があるため、タイミングを見計らって城の建設に参加する必要があった。ケイラス1303では減点要素がなくなったため、そこまで納入に気をつけなくてもいい。(ただし、納入した方が単純に得点効率がいい)
賛否が分かれるのは人物タイルの扱いだろう。
非対称の能力を持つゲームは最近ではごく当たり前である。マルコポーロの旅路は強さの壊れ具合が魅力であるし、テラミスティカやガイアプロジェクトのような個性ある個人ボードはリプレイ性を高めてくれる。
問題はこれを奪えるようにしてしまったことだ。
恩恵は建物効果でも発動するため、能力込みで計画を立てていると、それを大きく狂わされる。だからといって人物タイルの奪い合いをしていると泥沼化してしまい、漁夫の利が発生してしまう。
この辺の今どきではない直接攻撃部分をどうみるかで評価は変わるだろう。
ケイラスは運要素がなく、ゲームが終わるタイミングも毎回違うため、周りの動向を窺いつつ、先々まで計画してプレイする必要があった。ケイラス1303では人物タイルの移動により綿密な計画が立てづらくなった。ただ、9ラウンドで終わると分かっているため、見通しは立てやすい。
どちらが良い悪いではなく、単純に好みの問題になってくる。
最近ボードゲームを始めた人だとケイラスの処理は、まどろっこしく感じるかもしれない。逆にケイラスを遊んでいた人だとケイラス1303は物足りないと感じるかもしれない。
この辺りは両方を遊んでみて判断して欲しいところだ。

