去年に引き続き、今年もトリックテイキングのアドベントカレンダーに参加させていただきました。この記事はTrick-taking games Advent Calendar 2016の1日目のエントリーとなります。
ドッペルコップは楽しい
ドッペルコップとは、トランプを使った4人用のトリックテイキングです。24ラウンド遊ぶとだいたい4時間から5時間ほどかかるゲームで、決してハードルは低くありません。
しかし、そこまでの長時間ゲームでありながら、2015年09月に初めて遊んでから、もう10回ほどは遊んでいます。続々と新しいボードゲームが発売している現在でも4人集まれば「ドッペルコップする?」という選択肢が当然のようにでてきます。
4人専用ゲームですから、少なくても自分以外に3人、同じようにドッペルコップを面白いと感じる人がいなければ遊ぶことはできません。相手がいなければ遊ぶことができないのは多くのボードゲーマーの悩みのひとつです。
ルールが複雑で時間がかかるゲームですから、それなりの好事家でないとつきあってはくれません。
幸いなことにわたしの周りにはそういった好事家がいてくれるので、こうして何度もドッペルコップが遊べているわけです。
ドッペルコップの魅力
トリックテイキングとはカードを使った対話である。
これがわたしのトリックテイキングに対する考えです。ドッペルコップはその対話をさまざまな形で楽しむことができます。
たとえば、こういう状況ならばどんなことが考えられるでしょうか。
通常ルールでゲームが行われ、まだ自分のパートナーは判明していません。手元に♣Qがあるため、自分は攻め側です。ここでわたしが♠Qを出します。
ドッペルコップの通常ルールでは、もっとも強いカードは♥10です。次が♣Q、その次が♠Qです。つまりここで出したカードはかなり強く、手元に♣Qがあることを考えると、まず勝てる手です。
すると次のプレイヤー①が♦Aを、その次のプレイヤー②が♣Jを、その次のプレイヤー③が♥10を出しました。そのため、このトリックはプレイヤー③が獲得します。
カードが出された順番は♠Q、♦A、♣J、♥10です。
ここからどういう情報が読み取れるでしょう?
普通に考えるならば、①が味方、③が敵です。
さらに消去法で②も敵と考えられます。
①が味方だと考える理由は♦Aという得点が高いカードを出したからです。わたしが出した♠Qがまず勝てるだろうと考え、高得点で、なおかつフォックスになる可能性の♦Aを預けたわけです。
③が敵だと考える理由は、そのままいけばわたしが勝てるはずなのに、わざわざそれを阻止しにきたからです。③が弱いカードを出せば、そのトリックはわたしが獲得し、③は強いカードを温存できます。それをしなかったということは敵である可能性が高いです。
しかしこれはあくまでも確率の話です。
もしかすると①は他に切札がなく、仕方なく♦Aを出したのかもしれません。または♦Q、♥Qといったカードを温存したくて、負けると分かっていてあえて出したのかもしれません。はたまた、さっきの考えを逆手にとって自分を味方だと思わせるためにあえて高得点のカードを出したのかも……。
こういったことが1トリック1トリック繰り返され、徐々に情報が明らかになっていきます。この過程こそがドッペルコップの醍醐味です。
誰が味方? キミが? 本当に?
「味方なんで高得点カードを任せた」
「ここは情報を伏せるために弱いカードを」
「敵なんで、これは取らせてもらう」
「負けるのは分かっている。しかしマストフォローなんだ」
カードをプレイするだけで、上記のような言葉が見えてきます。その瞬間、♥10はただの記号ではなく、雄弁な言葉として目に映ります。これが分かってくると一気にトリックテイキングが面白くなってきます。
さらにドッペルコップでは、2対2だけでなく、1対3という状況もあります。そのときは上手く3人の呼吸を合わせ、ひとりの成功を阻止しなければなりません。逆にひとりはそんな3人の壁を飛び越え、勝利をつかみにいきます。
サイレントソロだと一見、2対2に見えていながら、実は1対3だったということになるので、最後まで展開が読み切れません。自分がサイレントソロで、上手いこと誰かを味方だと信じさせることができれば心の中でほくそ笑むことができます。
手札から勝負にいくべきかどうかの見極め。
誰が味方で誰が敵かを素早く判断する力。
相手を上手く惑わすプレイング。
こういったさまざまな要素によって構成されているのがドッペルコップです。
終わりに
本来ならばもっと詳しくルールを書きたいところなのですが、なにぶんそれを書き出すとそれだけでかなりの量になってしまうので、最低限の記述に抑えました。興味を持たれた方はぜひ以前の記事をご覧になり、実際に遊んでもらえれば幸いです。
さて、Trick-taking games Advent Calendar 2016の2日目は@_kazuma0221さんによるスカートのお話です。ドイツでは3人ならばスカート、4人ならばドッペルコップというのが定番です。どんなお話なのか楽しみですね。