ボードゲームデザイナーの中でも特に人気があるウヴェ・ローゼンベルクのゲームをまとめてみました。最近だとワーカープレイスメントやパズルゲームの印象が強い作者ですが、カードゲームもたくさん作っています。
ワーカープレイスメント
アグリコラ(2007年)
多くのボードゲーム愛好者を虜にした彼の代表作ともいえる作品です。
自分の農場を拡大していくという箱庭的なテーマに、使い切れないほどのカードが加わり、何度も遊べるゲームに仕上がっています。
派生作品も多く、拡張の泥沼からの出発、新たに調整を加えたアグリコラ:リバイズドエディション、2人用のアグリコラ:牧場の動物たちなどが発売されています。
追加カードのアルティフェクスデッキ、ブーブルクスデッキなども登場して、まだまだこれからも遊ばれ続けそうな名作です。
カヴェルナ(2013年)
アグリコラのルールを踏襲したワーカープレイスメントです。
アグリコラの大きな特徴であったカード要素がばっさり削られており、かなりプレイ感が変わりました。カードがなくなってシンプルになった訳でもなく、たくさんの効果を持つ部屋やさまざまな恩恵をもたらす探索、任意の資源に変えられるルビーにより、選択肢がより増えています。
また、アグリコラにあったカテゴリーごとの上限がなくなったため、プレイヤーごとに盤面に個性がでるようになりました。
忘れられた部族という拡張が出ており、さらに個性的な盤面が作れるようになっています。
ル・アーブル(2008年)
アグリコラに続く収穫三部作の第2弾として登場したゲームです。
フランスの港町を舞台に、さまざまな商品を獲得、加工して得点に変えていきます。たくさんの効果を持った建物カードや毎回ランダムで登場する特別な建物により、多様な展開を生み出します。
1~5人用で、ショートルールも用意されています。
オーディンの祝祭(2016年)
どんどんボリュームアップしていったウヴェ・ローゼンベルク作品の中で、その頂点ともいえるワーカープレイスメントです。BGGでのWeightは3.83です。(アグリコラは3.64)
大量のアクションスペースに、さまざまなテキスト効果があるカード、加えて個人ボードにはパズル要素がありと、かなりのボリュームになっています。
ワーカープレイスメントの導入としてはオススメできませんが、ボードゲームに慣れたプレイヤーならば濃密な時間を過ごすことができます。
ヌースフィヨルド(2017年)
オーディンの祝祭の翌年に登場しましたが、それまでのボリュームアップ傾向から一転、かなりコンパクトにまとまったワーカープレイスメントです。
漁業がテーマになっており、漁フェイズ、労働フェイズ、帰宅フェイズの3つのフェイズを全7ラウンド行います。
ワーカーが3個固定になり、資源も木材、魚、お金しかありません。ラウンドごとの食料供給がないので、その分気軽に遊ぶことができます。
「あまり選択肢が多いのはちょっと……」という人にはぴったりのワーカープレイスメントです。
祈り、働け(2011年)
フランスとアイルランドの2種類のゲームが遊べるワーカープレイスメントです。ルールは同じですが、登場する資材や建物が異なります。
全部で20種類以上のアイテムがあり、それらを加工することで得点に変えていきます。マーカーは両面仕様で450枚も入っており、なかなかのボリュームです。
通常のワーカープレイスメントと異なり、相手のコマを動かすことができるのが大きな特徴です。3つあるワーカーはラウンド開始時にすべて配置されていないと手元に戻ってこないため、人に使われることにもメリットがあります。
祈り働けの大きな発明として収穫リングがあります。ラウンドごとに回すだけですべての補充が済むので、いちいちコマを置いていく面倒がありません。
アルルの丘(2014年)
最初から膨大な数のアクションがある2人用ワーカープレイスメントです。後に発売された紅茶と交易を入れることで3人でも遊べるようになりました。
ワーカーは4つ固定で9ラウンドなので、全部で36アクションしかないのですが、ワーカーを使用しないアクションもあるため、できることはかなりあります。
夏のラウンドと冬のラウンドが交互にあり、行えるアクションが違うのが特徴です。
パズル
コテージガーデン(2016年)
2つの花壇を受け持って、それぞれにさまざまな花のピースをはめていきます。空きスペースがなくなると完成となり、次の花壇を作ります。完成した際に見えている植木鉢と苗カバーが得点となり、最終的にもっとも得点が高いプレイヤーの勝利です。
ウヴェ・ローゼンベルクのパズル三部作の1つで、インディアンサマー、スプリングメドゥが続きます。
パッチワーク(2014年)
パッチワークキルトを作り上げる2人用ゲームです。
9×9マスの個人ボードにさまざまな形の布地タイルを置いていきます。あらかじめすべての布地タイルが円状に置かれているため、始まってしまえば運要素はありません。そのため、相手の動きを見越したプレイングが要求されます。
後に紙ペンゲームのパッチワーク:ドゥードゥルが登場しますが、こちらは1~6人用です。
カードゲーム
マンマミーア(1998年)
ピザ職人となって8種類のピザを完成させるカードゲームです。
手札としてトッピングカードが配られます。その後、各自の山札からレシピカードを1枚引きます。手番ではトッピングカードを1種類出し、その後手札を補充します。レシピに必要なトッピングがそろったと思ったらレシピカードを出します。
トッピングカードの山がなくなったら、それまでに出されていたカードをひっくり返し順番に公開していきます。レシピカードが出てきたら必要なトッピングを消費してピザを完成させます。
3ラウンド行い、もっとも多くのピザを完成させたプレイヤーの勝利です。
ボーナンザ(1997年)
豆まきをテーマにしたカードゲームです。
手札の順番を変えてはいけないというルールの下、カードを畑に植えたり、他のプレイヤーに交渉して渡したりします。一般的に交渉を行う場合、どちらもウィンウィンになるように材料を出しますが、ボーナンザではいらないカードはただであげた方がメリットが多いため、何とも独特なプレイ感になります。
相手の邪魔をするよりも自分の得点を伸ばした方がいいゲームなので、軽めの交渉ゲームとしてもオススメです。
さまざまな拡張やバージョンが出ており、ウヴェ・ローゼンベルクの人気作品の一つでもあります。
バーゲンハンター(1998年)
3~4人用のトリックテイキングゲームです。
プラスにする数字を1枚決め、それ以外は獲得するとマイナスになるという、かなり独特なルールです。ただし、ラウンド終了後にマイナスの数字のうち1つをプラスに変えることができます。
山札に対して配られるカードが少ないため、カウンティングはほとんどできません。そのため、運要素は割と強めです。
その他
洛陽の門にて(2009年)
収穫三部作の3つ目の作品です。ただし、デザインされたのは最初と言われています。
メカニクス的にはカードドラフト、セットコレクションです。20種類の助手カードを活用して、顧客に対して野菜を提供していきます。
得点トラックの進め方が独特です。1マス目は1文ですが、2マス目からはマスに書いてある数字分だけのお金が必要になります。そのため、後半になればなるほど払いづらくなるため、プレイヤー同士であまり差がつかないようになっています。
この辺のジリジリしたやり合いをどう捉えるかで評価が分かれそうです。
グラスロード(2013年)
個人ボードを開拓していくタイプのゲームです。
各自が15枚のカードを持っており、その中からラウンドで使用する5枚を選びます。手札から1枚を選び、裏向きで置きます。その後、スタートプレイヤーから順番にカードを公開してアクションを実行していきます。このとき、同じアクションカードを出していたら公開しなければなりません。
相手が何を出すかを読みつつ、資源を集めて、建物を建てていきます。建物タイルの種類に対して、1ゲームで登場する枚数が少ないため、同じような展開にはあまりなりません。
メルカトル(2010年)
ヨーロッパ各地をめぐり商品を入手して、契約カードに書かれた地域に送り届ける、いわゆるピック&デリバリーです。契約カードを達成する度に、より高い契約カードが取れるようになるため、どんどん得点が上がっていきます。
この時期のウヴェ・ローゼンベルク作品は、その多くが日本語化されましたが、なぜかメルカトルはされなかったため、知名度はあまりないかもしれません。
BGGのレートは7.0(最大10)と決して評価は悪くないので、何かをきっかけに再注目されれば人気がでるかもしれません。